ALPINE SKI & SNOWBOARD チューンナップ
もくじ
- STEP1 エッジの調整
- エッジの焼き取り
- ベースエッジビベリング
- サイドエッジビベリング
- STEP2 滑走面のクリーニング(ホットクリーニング)
- 簡単クリーニング クリーナーを使用した場合
- STEP3 ベースワクシング
- シーズン前の準備として行うベースワクシング
- シーズン中のベースワクシング
- 手順(塗り方)
- STEP4 トップワクシング
- STEP5 スペシャルワクシング
- パウダー・ソリッドタイプのフッ素ワックス使用方法
- リキッドタイプのフッ素ワックス使用方法
- GIGA SPEED Maxfluor DRYの使用方法
- GIGA SPEED Maxfluor and GIGA SPEED SUPER WETの使用方法
- Challenge ベースリペア(滑走面についたキズの修理)
- Challenge ケバ取り
- 各種ワックスの使用方法(動画)
- スプレーワックスGENERAL F100/F220
- ペーストワックスGENERALペースト
- 生塗りワックスGENERAL Joker
STEP1 エッジの調整
エッジが錆びていたり、傷が付いていたり、丸まっているようでは、ターンはもちろん、エッジを効かせてストップさせることも難しくなります。
そこで、滑りの心臓部でもあるエッジを念入りに点検し、エッジを削って角を立てます。
エッジの角度は種目、技術、コースコンディションなどに合わせて角度を変えます。
エッジの焼き取り
<焼きとは?>滑走中に石などを踏み、摩擦で焼け、エッジが硬くなる現象。エッジが焼けると、ファイルが噛まなくなり上手にファイリングができなくなります。
エッジに焼きが入っていると、ファイルで削ることができません。
ベースエッジの焼き取り
エッジに焼きが入っていると、ファイルで削ることができません。ダイヤフェイス(#100又は#200)を使って、ベースエッジの焼きを取り除きます。
※ダイヤフェイスは、水とアルコールを1:1に混合した溶液で(水だけでも可)で必ず濡らしてからご使用ください。
サイドエッジの焼き取り
エッジに焼きが入っていると、ファイルで削ることができません。ダイヤフェイス(#100又は#200)をファイルガイドにセットして、サイドエッジの焼きを取り除きます。※ダイヤフェイスは、水とアルコールを1:1に混合した溶液で(水だけでも可)で必ず濡らしてからご使用ください。
ベースエッジビベリング
エッジの調整の中でも、ベースエッジビベリングは滑走面側のエッジに角度を付けることで、スキー、スノーボードの性能を引き出すための重要な作業です。角度は滑走面の形状やスキーヤー、スノーボーダーの技術、種目、コースコンディションなどによって異なります。
フラットをチェック
滑走面の状態をフラットゲージで確認します。
ベースエッジを削る(図1参照)
粗目又は中目のファイルでベースエッジをビベリングします。
ビベリングの方法は、滑走面の状態で(図2参照)若干異なります。下記説明を参考に作業してください。
●フラットの場合
ファイルのエッジ側に載せた手に均一に加重しながら少しずつ削ります。この時あまり加重させすぎると波を打ったり、思った以上にビベリングしてしまうので注意しながら削ってください。よりビベリングしたい場合は、テープなどを巻いて削ってください。(図1参照)
●コンケーブの場合
この状態はエッジがひっかかりやすい状態ですので、[フラットの場合]で行う作業を参考にエッジを削っていきます。(図1参照)
●コンベックスの場合
この状態はエッジがかかりにくい状態なので、滑走面を削りフラットな状態にする必要があります。この作業に関しては、専門店での施工をお勧めいたします。フラット確認後、図1の作業を行います。
サイドエッジビベリング
サイドエッジビベリングはエッジに角度を付けることで、エッジグリップが増し、シャープな回転を得るために行います。角度は、技術・種目・コンディションなどによって異なります。大きな角度を付けると操作が難しくなるので、自分に合った最適な角度を付けてください。
ボーダーを削る
エッジを研磨する際、エッジを保護しているボーダーが邪魔になるので、ボーダーカッターを使ってボーダーを切り落とします。(図3参照)
サイドエッジを削る
写真左:ダイヤフェイスを使用した場合 写真中:ファイルを使用した場合 写真右:サイドエッジシャープナーを使用した場合
バリを取り除く
○ファイリングでできたベースエッジのバリをダイヤフェイス(#400又は#600)で落とします。(写真左)
○次に、ダイヤフェイス(#400又は#600)をファイルガイドにセットして、サイドエッジのバリを取り除いてください。(写真右)
○ベースエッジ、サイドエッジの順に3セット程度交互に行うときれいに仕上がります。
ダリング(スノーボードのみ)
ノーズやテールのエッジが鋭く立ち過ぎていると、スノーボードが雪面に引っかかって、思うようにターンできません。また、転倒した時、自分のスノーボードで怪我をすることもあるので、ノーズとテールの部分のエッジをダリングします。(図4)の黒太部分のエッジが立っていると、ターン時にエッジが引っかかり、うまく曲がれないため、この部分をサンドペーパー#150で調整します。
※種目・コースコンデションにより異なりますので、少しずつ調整してください。
STEP2 滑走面のクリーニング(ホットクリーニング)
買ったばかりのスキー,スノーボードはもちろん、使用したスキーの滑走面には目に見えないゴミや汚れが付着しています。
汚れやゴミ・古いワックスが付着していると、滑走性能を低下させるので、滑走面の汚れを完全に取り除きましょう。
滑走面の焼き付け防止のため、ワクシングペーパーをアイロンと滑走面の間に挟んで、ワクシングしてください。
ブロンズブラシによるクリーニング
ストラクチャー内のケバやゴミ、汚れを取り除くため、ブロンズブラシを使ってトップからテール方向に向かってブラッシングします。
ファイバーテックスによるケバ取り
さらにコルクに巻いたファイバーテックス(粗仕上げ用)で細かなケバを取り除きます。
ワックスを生塗りする
EXTRA BASE PINKや、BASE WAX、クリーニングワックス等の軟らかいワックスを滑走面全体に満遍なく生塗りします。アイロンに固形ワックスを当てて表面を柔らかくした方が生塗りしやすくなります。
ワックスを滑走面に垂らす
滑走面の上にワクシングペーパーを敷き、その上から左記の3で使用したワックスをアイロンで融かしながら適量垂らします。
ワックスをアイロンで延ばす
ワクシングペーパーとアイロンを一緒にずらしながら滑走面全体に満遍なくなじませるように延ばします。この作業は、トップからテール方向へゆっくりと2〜3回動かします。この時、アイロンを止めないように注意してください。
ワックスをスクレーピングする
ワックスが完全に冷める前にスクレーパーでワックスを完全に削り取ります。
ブラッシング
ボアブラシでストラクチャー内のワックスを掻き出し、ナイロンブラシで仕上げます。 ※汚れがひどい場合は①〜⑦までの行程を繰り返してください。
ファイバーテックスで拭き取る
最後にファイバーテックス(最終仕上げ用)で、掻き出した細かなワックスをキレイに拭き取ります。
簡単クリーニング クリーナーを使用した場合
1.クリーナーをキッチンペーパー等(紙ふんが出にくいもの)に染みこませ、汚れや古いワックスを取り除いてください。
1or2.ツーウェイクリーナーの缶をよく振ってから滑走面全体にスプレーし、キッチンペーパー等で汚れや古いワックスを取り除いてください。
3.ストラクチャー内のケバやゴミ、汚れを取り除くため、ブロンズブラシを使ってノーズ(トップ)からテール方向に向かってブラッシングします。
4.さらにコルクに巻いたファイバーテックス(粗仕上げ用)で細かなケバを取り
STEP3 ベースワクシング
HYBRID HFシリーズ・滑走シリーズ(トップワックス)に含まれているフッ素は、滑走面に浸透しません。そのため、ベースとなるフッ素を含まないパラフィンワックス(EXTRA BASEシリーズGREEN/BLUE/VIOLET/PINK)が十分滑走面に吸収されていないと、フッ素を含んだトップワックス(HYBRID HFシリーズ・滑走シリーズ)は強く定着できません。高い滑走性を持ったトップワックスの性能を十分に引き出すためには、必ずベースワクシングを行う事が必要です。
滑走面の焼き付け防止のため、ワクシングペーパーをアイロンと滑走面の間に挟んで、ワクシングしてください。
またアイロンの温度は、各ワックスを溶かした時に、アイロンから煙が出ない程度に設定してください。
3-1 シーズン前の準備として行うベースワクシング
新しいスキー、スノーボード、ストーングラインディングを行った後のスキー、スノーボードは滑走面にワックスが全く入っていない状態です。また、1シーズンを通して滑るスキー、スノーボードで楽しむためには、滑走面を仕上げておく事が大切です。そこで、シーズン前や新しい滑走面に下記の手順でワクシングを行い、滑走面にベース(パラフィン)ワックスを浸透させ滑走面を完璧な状態にし、滑るスキー、スノーボードに仕上げる事ができます。
※ホットワクシングの工程は「3-3」の通りです。「手順1~8」までの工程を全て行ってください。
3-2 シーズン中のベースワクシング
シーズン中のベースワクシングは、使用するトップワックス(HYBRID HF/滑走シリーズ)に合わせて行います。トップワックスと同じ色のベースワックスを1回塗ってから、トップワクシングをしてください。
※ワクシングの手順は「3-3」の通りです。
※ワックスの選択はP.25「WAX CHART」を参照ください。
3-3 手順(塗り方)
ワックスを生塗りする
滑走面全体に満遍なく生塗りします。アイロンに固形ワックスを当てて表面を柔らかくした方が生塗りしやすくなります。
ワックスを滑走面に垂らす
ワクシングペーパーの上にワックスを融かしながら適量垂らします。
ワックスをアイロンで延ばす
アイロンを止めないように滑走面全体に満遍なく延ばします。
ワックスをスクレーピングする
常温まで冷えたらスクレーパーでワックスを削ります。
ブラッシング(ボアブラシ)
ボアブラシでストラクチャー内のワックスを掻き出し、ナイロンブラシ、馬毛ブラシの順で仕上げます。
ブラッシング(ナイロンブラシ)
ブラッシング(馬毛ブラシ)
ファイバーテックスで仕上げる
最後にファイバーテックス(最終仕上げ用)で仕上げます。
STEP4 トップワクシング
HYBRID HFシリーズ・滑走シリーズ(トップワックス)を塗布する前に、雪質に合ったEXTRA BASEシリーズ(GREEN/BLUE/VIOLET/PINK)のいずれかのワックスを下記のチャート表を参考に選択し塗布すれば最大限の効果が得られます。
滑走面の焼き付け防止のため、ワクシングペーパーをアイロンと滑走面の間に挟んで、ワクシングしてください。
またアイロンの温度は、各ワックスを溶かした時に、アイロンから煙が出ない程度に設定してください。
ワックスを生塗りする
下記チャート表から選定したワックスを滑走面全体に生塗りします。アイロンにワックスを当てて、ワックスの表面を少し融かして柔らかくした方が生塗りしやすくなります。
ワックスを滑走面に垂らす
ワクシングペーパーの上にワックスを融かしながら適量垂らします。
ワックスをアイロンで延ばす
アイロンを止めないように滑走面全体に満遍なく延ばします。
ワックスをスクレーピングする
常温まで冷えたらスクレーパーでワックスを削ります。さらに、エッジについたワックスはスクレーパーの端に付いているエッジスクレーパーを使って取ります。
ブラッシング(ボアブラシ)
ボアブラシでストラクチャー内のワックスを掻き出し、ナイロンブラシ、馬毛ブラシの順で仕上げます。
ブラッシング(ナイロンブラシ)
ブラッシング(馬毛ブラシ)
ファイバーテックスで仕上げる
最後にファイバーテックス(最終仕上げ用)で仕上げます。
滑走性がアップする最後の決め手!! 静電気を取り除く
最後にアンスタフィニッシュパッド又は、アンスタフィニッシュクロスで静電気を取り除きます。
HYBRID HF/滑走/EXTRA BASE SERIES WAX CHART
STEP5 スペシャルワクシング
スペシャルワックス(フッ素ワックス)は大会に出場する時や大会前のトレーニングに使用します。 特に湿雪時には欠かせないワックスです。
GIGA SPEEDシリーズ、Dr.FCGシリーズのフッ素ワックスは、Step.2〜Step.4の行程を必ず行った上で塗布してください。
GIGA SPEED SOLID DRYには特殊素材を使用している為、使用する用具にワックスの色が付いてしまいます。
使用するフィニッシュコルク(コルク)、馬毛ブラシ等は専用の物をご使用ください。
パウダー・ソリッドタイプのフッ素ワックス使用方法
フッ素パウダーを振りかける
GIGA SPEED POWDERシリーズ、Dr.FCG POWDERを滑走面全体に適量振りかけます。
生塗りする
GIGA SPEED SOLIDシリーズ、Dr.FCG SOLIDを滑走面全体に生塗りします。
フィニッシュコルクで延ばす
フィニッシュコルクで押しつけるように滑走面全体に満遍なく延ばします。※フィニッシュコルクがない場合は通常のコルクを使ってください。
発泡スポンジ面で更に延ばす
更にフィニッシュコルクの発泡スポンジ面で擦り込みます。
馬毛ブラシによるブラッシング
馬毛ブラシで滑走面を軽いタッチで仕上げます。この時使用する馬毛ブラシは、フッ素ワックス専用としてください。
ファイバーテックスで仕上げる
ファイバーテックス(最終仕上げ用)で仕上げます。
滑走性がアップする最後の決め手!! 静電気を取り除く
最後にアンスタフィニッシュパッド又は、アンスタフィニッシュクロスで静電気を取り除きます。
リキッドタイプのフッ素ワックス使用方法
使用前に行う事
- 雪質に合わせたベースワックスとトップワックスを塗布し、完全に滑走できる状態に仕上げてから使用します。
- 他のスペシャルワックス(パウダーやソリッド)と併用すると、より高い滑走性が得られ、適応範囲も広がります。また、その効果も長持ちします。
- 何回か滑走したスキーに塗布する場合は、ナイロンブラシでブラッシングを行い、滑走面に付着したゴミや汚れを取り除いてから塗布してください。
GIGA SPEEDシリーズは、Step.2〜Step.4の行程を必ず行った上で塗布してください。
GIGA SPEED Maxfluor DRYの使用方法
GIGA SPEED MAXFLUOR DRYを垂らした後
付属のスポンジでのばします。
乾いたらナイロンブラシでごく軽くブラッシングします。ただし、強くブラッシングしてしまうと、効果がなくなりますのでご注意ください。
GIGA SPEED Maxfluor and GIGA SPEED SUPER WETの使用方法
GIGA SPEED MAXFLUOR or GIGA SPEED SUPER WETの場合、基本的には塗って終了です。
降雪時など塗布後に引っかかりが感じられた時のみブラッシングを行います。
ただし、強くブラッシングしてしまうと、効果がなくなりますのでご注意ください。
このPEフォームで塗るだけでOK!!
GIGA SPEED Maxfluorフタの閉め方 ※ダイヤルを完全に締めないと液漏れの原因になります。
使い終わったら
ダイヤルを回す
カチッとなるまでしっかり締める
Challenge ベースリペア(滑走面についたキズの修理)
滑走面にキズ(特に横方向のキズ)があると、滑走性・操作性に支障をきたすばかりではなく、スキー、スノーボード本体まで破損してしまう危険性もあります。そこで滑走面にキズがある場合は、下記の手順でキズの修理を行ってください。
サンドペーパーで仕上げる場合、手の動きは必ず一方方向のみとしてください。前後に動かすとケバの発生につながります。
古いワックスを取り除く
まず、クリーナーを使って、古いワックスを極力取り除いてください。
キズを整える
滑走面についたキズを彫刻刀などできれいに整えリペア材が接着しやすい状態にします。※これはリペア材が接着しやすい状態を作るために大変重要な作業です。
リペアキャンドルを垂らす
リペアキャンドルにライターなどで火をつけ、溶けたリペアキャンドルを垂らしてください。※キズ口からリペアキャンドルが少し盛り上がるまで垂らす事がポイントです。キズが深い場合には、一回で盛り上がるまで埋めようとせず、この作業を2〜3回繰り返してください。その場合、垂らしたリペアキャンドルが一旦完全に冷えてから、再度リペアキャンドルを垂らすようにしてください。
リペアキャンドルを圧着させる
十分リペアキャンドルを垂らしたら、リペアキャンドルが冷えて硬くなる前に、垂らしたリペアキャンドルの上にスクレーパーを乗せ強く圧着させてください。
メタルスクレーパーで削る
サンドペーパーで仕上げる
仕上げにサンドペーパーをコルクに巻いて、サンディングを行います。※サンディングは#240→#320の順に行ってください。
Challenge ケバ取り
滑走面には細かいケバが立っている場合があります。どうしても短時間でケバを取りたいという時の対応方法です。
滑走面の焼き付け防止のため、ワクシングペーパーをアイロンと滑走面の間に挟んで、ワクシングしてください。
またアイロンの温度は、各ワックスを溶かした時に、アイロンから煙が出ない程度に設定してください。
ブロンズブラシによるケバ取り
ブロンズブラシでトップ,ノーズからテール方向に数回ブラッシングします。※ブラッシングすることにより、ストラクチャー内のケバまできれいに取り除くことができます。
ファイバーテックスによるケバ取り
さらにコルクに巻いたファイバーテックス(粗仕上げ用)で細かなケバを取り除きます。
ワックスによるケバ取り
EXTRA BASE GREENのような硬いワックスを、滑走面全体に満遍なく生塗りします。アイロンに固形ワックスを当てて表面を柔らかくした方が生塗りしやすくなります。
滑走面の上にワクシングペーパーを敷き、その上からEXTRA BASE GREENをアイロンで融かしながら適量垂らします。
ワクシングペーパーとアイロンを一緒にずらしながら滑走面全体に満遍なくなじませるように延ばします。この作業は、トップ、ノーズからテール方向へゆっくりと2〜3回動かします。この時、アイロンを止めないように注意してください。※ワクシングペーパーは使用しなくてもかまいません。
ワックスが完全に冷えたらスクレーパーで削り取ってください。
ボアブラシを使用し、ストラクチャー内にあるワックスを取り除くと、細かなケバも取り除く事ができます。